3月に行った「株式投資への取り組み調査_2023年春」(対象:20〜70代の男女2,923人)では、現在の投資状況が「含み益」となっている人の割合は20代と30代が74.0%で最も高く、反対に「含み損」の人は20代が最も低い、という結果になりました。
そこで、多くが利益を出している20代・30代に、どのようにして株式投資に取り組んでいるのか、さらなる調査を実施しました。
(参考記事)Z世代が株式投資をする理由は「生活費」… FIREよりも老後資金が気になる切実な実情が明らかに
- 調査内容:Z世代の株式投資への学習調査
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:事前調査で「株式投資に取り組んでいる」と回答した全国の20代・30代の男女800名
- 調査日 :2023年6月23日
株の情報収集に利用するサービスは?
20代、30代は株式投資に関する情報をどこで得ているのか。
今回の調査の結果、最も多く利用されているのはYouTubeで53.4%、続いてTwitterが29.9%、Yahoo!ニュースが27.1%でした。新聞は17.5%、雑誌は12.1%です。YouTubeは新聞の約3倍となり、SNSを活用した情報収集の割合が高いことが見てとれます。
この結果を20代・30代に分けて見てみると、どちらの年代でもYouTubeが50%超えと、飛びぬけて高い結果となっています。次点は、30代はTwitterを抑えてYahoo!ニュースとなりました。また、20代ではInstagramがYahoo!ニュースを抑えて3位に入っています。
YouTubeで最もよく見ているチャンネルは?
株式投資の情報収集にYouTubeを利用している427名に「株式投資について学ぶために、最もよく見ているチャンネル」を調査しました。
その結果、最も多かったのは「特にない」「色々なところを見ている」「特定のチャンネルを見ているわけではない」といった回答(計175件)でした。特定のチャンネルを意識するよりも、検索やレコメンドで出てきた動画を見ている人が多いようです。
特定のチャンネルで回答数の多かったものを順に示すと、以下の通りとなりました。
【回答数が多かったチャンネル】
- 両学長 リベラルアーツ大学:62件
- 中田敦彦のYouTube大学:14件
- 株の買い時を考えるチャンネル:9件
- BANK ACADEMY / バンクアカデミー:8件
- Dan Takahashi (Japanese):6件
「両学長 リベラルアーツ大学」の人気が高いことがうかがえますが、上記以外の回答では1件、2件といったものが多く、全体の傾向として特定のチャンネルに人気が集中するのではなく、様々なチャンネルの動画が見られていると考えられます。
Twitterで最も重視されているアカウントは?
株式投資の情報収集にTwitterを利用している239名についても、「最も重視しているアカウント」を調査しました。
その結果、こちらも「特にない」「特定のアカウントはない」「決めていない」といった回答が117件で最多となりました。YouTube以上に、特定のアカウントを意識している人は少ないようです。個別の回答があったアカウントは様々ありましたが、複数回答があったものは僅かでした。
【複数回答があったアカウント】
- 両🦁リベ大学長:6件
- テスタ:4件
- 中田敦彦:3件
- 会社四季報📚株式投資・銘柄研究のバイブル:2件
- バフェット太郎:2件
YouTubeと同じく、特定のアカウントに人気が集中しているのではなく、検索やハッシュタグに紐づいて出てくる様々なツイートを見ている実態を把握できました。
株の情報収集に利用しているデバイスは?
次に、「株式投資の情報を得るために主に利用しているデバイスは何ですか?」の質問に対して、20代、30代が最も良く利用しているものは「スマートフォン(iPhone)」が59.3%で最多となりました。
次点の「スマートフォン(Android)」19.0%と合計すると、スマートフォンは78.3%となり、情報収集の主流はスマートフォンであると言えます。パソコンについては「ノートパソコン」が10.8%、「デスクトップパソコン」が5.5%となり、合計で16.3%でした。スマートフォンはパソコンの4.8倍です。
ただ、パソコンをまったく使わない人が多いのかというとそうでもないようです。
株式投資におけるパソコンの利用状況についての調査では、「よく使う」が30.5%、「使うこともある」が34.3%となっており、合計すると約65%の人はパソコンを利用していることが分かりました。
20代・30代に必要なのは情報の整理
今回の調査で、20代・30代は主にSNSを活用して株式投資の情報収集を行っていることが分かりました。
YouTubeやTwitterの利用状況からは、特定のチャンネルやアカウントに頼るのではなく、幅広く情報を得ている実態が浮かび上がります。新聞や雑誌といった旧来のメディアが中心ではないのは、「いろいろな情報を集めたい」「見比べたい」という心理が強いからかもしれません。
株式投資においては、誰かのやり方をただ真似するのではなく、自分自身に最も合ったスタイルを確立することが大切です。他人の意見を鵜呑みにして極端なリスクを取ってしまうことは最も避けるべきことの一つ。
20代・30代はインターネットを上手に活用して様々な意見や情報を集めており、情報への向き合い方は好ましいものと言えます。投資状況が「含み益」となっている人の割合が20代・30代が最も高かったことの要因のひとつかもしれません。
一方で、様々な情報を集めることにより混乱を招きやすくなる点には注意が必要です。
株式投資には様々な手法・スタイルがあります。それらの整理がついていない状況で、アルゴリズムによって自動でレコメンドされる情報が、本当に自分に必要なものなのかどうか判断することは困難です。
その結果、無駄な回り道をしてしまうことも少なくありません。
株の学校ドットコムは、2009年の開校以来、一貫して「投資とトレードの違い」を知ることの重要性を発信し続けています。なぜなら、この違いを知ることで、自身の株式投資に必要な情報を少なくとも半分に絞ることができるからです。
自分に必要なのは「投資」なのか「トレード」なのかもわからずに、混乱したまま株式投資に取り組んでいるとしたら、ただ霧に向かって奔走しているようなもの。その霧を晴らして道を示すことが、私たち株の学校ドットコムの役割だと考えています。