Z世代は20万円以上も当たり前? お金をかけて学ぶ若い投資家と、誰とも話さないベテラン投資家

株の学校ドットコムが行った全国の株式投資に取り組む20代〜70代の男女2,923人への事前調査では、現在の投資状況が「含み益」となっている人の割合は20代と30代が74.0%で最も高く、その割合は年代が上がるにつれて下がり、70代が最も低い結果となりました。

また、「含み損」の人の割合は70代が最も高く39.4%で、こちらは年代が下がるにつれて割合も下がっていき、20代が最も低いという結果でした。

そこで、株式投資についてどのように学習しているか、誰の意見やアドバイスを参考にしているかなどについて、年代別に分析を行いました。

  • 調査内容:株式投資への取り組み調査_2023年春
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:株式投資に取り組む全国20代~70代の男女502名
  • 調査日 :2023年4月4日

株式投資を学ぶために何を購入した?

まず、株式投資について、どういったもので学んでいるのかを質問しました。

その結果、多くの項目で20代・30代の数値が高く、様々な方法で学んでいることがわかります。それと同時に、年代が上がるにつれて数値が低くなる傾向が見られ、若い世代ほど熱心に勉強していると見ることができそうです。

その他に顕著な特徴がみられたのは「新聞・雑誌」で、20代と70代では、まったく反対の傾向が見られました。20代はほとんどの項目において全体平均よりも高い数値が出ていますが、全体平均よりも唯一低かったのが「新聞・雑誌」でした。

一方、70代はほとんどの項目において全体平均の数値より低い数値になっていますが、全体平均よりも唯一高くなったのが「新聞・雑誌」でした。

なお、全体として最も割合が高かったのは「書籍」の42.8%で、手頃であることから学習の入り口になっていることがわかります。

その一方で、「DVD」や「通信教育」「セミナー」「スクール」といった、ある程度のお金を投じる必要のあるツールについては20代・30代といった若い世代の割合が高く、ここからも、若い人ほど株式投資の学習に積極的にお金を使っている実態が見えてきます。

株式投資を学ぶために使った金額は?

次に、株式投資について学ぶために何らかを購入したことがあると回答した288名を対象に、これまでに学習のために使った金額について質問しました。

その結果、20万円以上を使った人の割合は20代が最も高く、61.1%となりました。全体の32.3%を28.8ポイントも上回り、突出して高い結果となっています。

株式投資の学習に20万円以上使っている人の割合(N=288)

50万円以上を使った人の割合も20代では25.0%と高く、60代の27.8%に次ぐ数値です。

前項で見たとおり、「DVD」「通信教育」「セミナー」などを積極的に活用しているためと推測されますが、このように自らお金を投じて真剣に学んでいることが、7割を超える人が「含み益」となっていることの背景にあるのかもしれません。

株式投資について話し合う相手は?

株式投資について普段、情報交換などの会話をする相手についても質問しました。その結果、若い世代ほど数値が高くなる傾向にあったのは「友人」と、意外にも「ファイナンシャルプランナー」でした。

「友人」については20代が35.3%と最も高く、60代は13.4%、70代では12.4%まで下がりました。「ファイナンシャルプランナー」についても20代が23.5%と最も高く、60代は1.2%、70代は2.3%でした。どちらも20ポイント以上の差がついています。

特に「ファイナンシャルプランナー」については、40代以上が活用するイメージもある中で、若い世代が積極的に使っている意外な実態がわかりました。

株式投資について「誰とも話さない」と答えた人も、全体で31.7%に上りました。その中で、20代は23.5%と他の世代と比べて低く、最も積極的に情報交換していることがうかがえます。

70代も25.8%と20代に次いで低い結果となりましたが、会話する相手が異なり、「証券会社等の営業担当者」の割合が33.7%と他より飛びぬけて高くなっています。なお、「誰とも話さない」割合が最も高かったのは50代の39.1%でした。

だれの意見やアドバイスを参考にする?

株の売買にあたって誰かの意見やアドバイスを参考にするかどうかを質問したところ、ここでも20代は、「友人」「ファイナンシャルプランナー」が他の年代と比べて高い結果となりました。

「投資顧問などの有料サービス」では最も高い数値を示しています。20代はすべての項目で全体を上回っており、様々な人の意見やアドバイスを積極的に取り入れているようです。

一方の70代では、やはり「証券会社等の営業担当者」の意見を参考とする割合が突出して高い結果となりました。全体平均の37.5%より16.4ポイント高い53.9%となり、全項目で唯一50%を超えました。

選択肢として挙げたすべてについて「参考にしない」と回答した人も、全体で26.9%いました。最も割合が多いのは60代の32.9%で、50代とともに3割を超えています。

50代と60代は、前項の「株式投資について会話をする相手」でも「誰とも話さない」と答えた人の割合が高く、また、「株式投資について学ぶために購入したもの」「〜これまでに使った金額」では、他の世代と比べて数値が低い傾向にあります。自分流で取り組んでいる人が多いのかもしれません。

株式投資には十分かつ適切な学びが不可欠

株式投資は、自身の大切なお金を投じる行為であるとともに、そのお金を失うリスクを伴う行為です。損失を最小限に留め、望む成果を得られるようになるには、それに見合った学びが欠かせません。

しかしながら、今回の調査では、「株式投資について学ぶために購入したことがある」の選択肢すべてについて「購入したことはない」と答えた人が全体で4割以上もいました。

多種多様なサービスが提供されている昨今、無料のサービスやツールをうまく活用して学んでいる人も多いのかもしれません。

その一方で、収入がさほど多くないと考えられる20代や30代が積極的にお金を投じて学び、情報収集に努めていることは、株式投資に真剣に取り組む彼らの姿勢を表していると同時に、7割以上が含み益になっているという成果にもつながっているのではないでしょうか。

株式投資においては、誰かのやり方をただ真似するのではなく、自分自身に最も合ったスタイルを確立することが何よりも大切です。それには、株式投資について体系的に学ぶだけでなく、様々な手法・スタイルに基づく意見を知ることも重要しょう。

ただし、他人の意見を鵜呑みにして極端なリスクを取ってしまうことは、最もやってはいけないことのひとつです。自分自身で判断を下せるようになるための学びが大切なのです。