シニアの投資詐欺被害を実態調査 12%が被害や勧誘に遭遇、うち半数には金銭的被害も


株の学校ドットコムでは、全国の60歳以上の男女2,000人を対象に、投資詐欺の被害状況についてアンケート調査を実施しました。

  • シニア世代の12%が投資詐欺の被害や勧誘に遭遇
  • 自分自身が投資詐欺の被害や勧誘を受けた割合は、男性が女性の約1.5倍
  • 投資詐欺の被害や勧誘にあった人の半数以上に金銭的被害がある
  • 金銭的被害があった人の12%が1,000万円以上の被害を受けている

投資詐欺の被害・勧誘はどのくらい?

「これまでに、あなた自身や友人・知人が投資詐欺の被害にあったり、勧誘を受けたことはありますか?」この質問に対して、「自分がある」や「友人・知人がある」と回答した人はあわせて240人となり、全体の12.0%となりました。

「自分がある」と回答した人は全体の7.4%であるのに対して、「友人・知人がある」と回答した人は全体の5.3%と、「自分がある」と回答した人のほうが多い結果となりました。

この差は、男女別の内訳で見ると、男性の回答差によるものであることがわかります。女性は双方ともに3.0%と差がないのに対して、男性は「自分がある」と回答した人が4.4%、「友人・知人がある」と回答した人は2.3%と大きな差がありました。被害にあったり勧誘を受けたりしたことについて、男性は友人や知人に話すことが少ないためではないかと考えられます。

また、「自分がある」と回答した人は女性が3.0%であるのに対して、男性は4.4%と約1.5倍の差になっていますが、その背景にも、男性では詐欺被害の情報共有が乏しいことが影響しているのかもしれません。

どんな被害・勧誘を受けているのか?

投資詐欺の被害・勧誘について「自分がある」や「友人・知人がある」と回答した240人には、具体的な内容を自由記入形式で回答してもらいました。以下に回答事例をご紹介します。

  • 「株を始めたころネットで有名だった人の私募債に勧誘され、口車に乗せられ投資したが、破綻。 被害者会で僅かな返金があった。」(61歳・女性)
  • 「途上国支援をうたった毎月分配型のファンドに投資したところ数か月で年分配型に気に変わったと一方的に通告されたため売却を申請したが実行されないのでオフィスまで押しかけると夜逃げされていた」(60歳・男性)
  • 「1回目の配当は、高配当なのですが、2回目以降は、無配で高額手数料が差し引かれ、ほぼ投資額が半減、追証を要求されます。断ると。3回目の配当精算でほぼ0~マイナスになり、追証を求めてきます」(62歳・男性)
  • 「トルコリラが絶対お勧めと言われ、全財産それに投資。時期を少しずつずらしているから戻ってくる時期によって多少の差はあるが、大体2~3割になって戻ってきている。まだ戻ってないのが3本。3000万円。もう、取り戻せる額ではない」(64歳・女性)
  • 「太陽光発電事業を始める会社があり神奈川県出身者が始めるので優先的に株を買うことができるという話であった」(72歳・男性)
  • 「これから高くなる株を紹介するとのことで毎日違う株を紹介してくれたがその株を買っても全然上がらなくて損ばかりだった。情報代金として支払った50万円は大損害であった」(76歳・女性)
  • 「必ず儲かると言われ実際に少しの儲けが出た後、金が必要と言われて追加した途端連絡取れず」(60歳・女性)
  • 「名簿が出回っていて、それをもとに電話での勧誘をうけたことがある。株式の投資だったと思います。 断りましたが、何回か電話がありました。後日、警察から電話があり、名簿に氏名が載っているので注意するようにと言われました」(65歳・男性)
  • 「未公開株の投資に引っかかった経験がある。それ以来電話には出ないことにしている」(74歳・女性)
  • 「先物取引でクリスマス前に砂糖を買っておけば値が上がると勧誘された」(73歳・男性)
  • 「投資信託の運用話で資金を振り込んだが、架空話で資金は戻らなかった」(60歳・男性)

なお、今回の調査では「投資詐欺」の被害・勧誘について質問しましたが、得られた回答の中には、オレオレ詐欺や振り込め詐欺、還付金詐欺、ロマンス詐欺、「海外旅行当選の連絡が来た」「雑居ビルの一室で人造宝石の購入を勧められた」……などなど、実に様々な被害・勧誘の実例が寄せられました。

金銭的被害は52%。1000万円以上も

具体的な金銭的被害を受けたのかどうかについても調査したところ、「被害・勧誘を受けたことがある」と答えた240人のうち125人が、実際に金銭的被害があると回答しました。実に、半数以上の人が金銭的被害を被ったことになります。

男女別で見ると、金銭的被害があると回答した人は男性では46.8%だったのに対して女性は57.9%と、女性のほうが高い結果となっています。「わからない」が11.4%あることをふまえると、実際にはもっと高い割合になる可能性もあり、女性は6~7割の人に金銭的被害があるのかもしれません。

金銭的被害があると回答した125人には、その被害金額についても質問しました。その結果、半数を超える51.2%が100万円未満だった一方で、1000万円以上の被害があったと回答した人も12%に上りました。これを男女別の内訳を見ると、男性が15.3%、女性が9.1%で、1,000万円以上の被害に遭っているのは男性のほうが多いという結果になりました。

まずは積極的な情報共有と情報収集を

今回の調査で、自身が投資詐欺の被害や勧誘に遭遇したことがある人は、女性よりも男性が1.5倍多いことがわかりました。友人・知人が遭遇したと回答した人よりも、自分が遭遇したと回答している人が多いことからも、詐欺被害に関する情報共有が乏しいのではないかと考えられます。

どんな詐欺が出回っているか、具体的にどういった手口があるかなど、まずは知識として「知っておく」だけでも十分な対策になります。自身が詐欺に遭った場合、それを人に話すことには抵抗があるかもしれませんが、より多くの情報共有こそが、ひとりでも詐欺被害に遭う人をなくすための第一歩になるはずです。

株の学校ドットコム金融教育研究所では、金融教育を必要とする学習者が適切な教育者に出会えることを目的とした調査・研究を行っています。本来、金融商品は人々の資産作りに貢献し、豊かな生活の実現に役立つものです。しかしながら、正しい金融教育を受ける機会がなかったために、悪質な詐欺行為に騙される人が後を断ちません。

人々の金融リテラシー向上に貢献すべく、これからも投資詐欺をはじめ金融商品にまつわる実態調査を進めてまいります。

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