【窪田剛の注目株】半導体株が一気に復活 日本株の今後を知りたいならアノ銘柄を要監視


2023年11月相場を振り返って

アメリカの金利上昇局面の終わり。そして株高へ。

11月の日経平均株価は、6月につけた33,767円を一時超えて33,853円をつけました。そして、これまで低迷を続けていた新興市場銘柄、さらには金利上昇に目途がついたアメリカの株価も大きく上昇しました。

まだまだ懸念点もありますが、そうはいっても期待したくなります。今後上昇していくならば、その上昇にしっかりと乗れるように、この1か月を振り返っていきましょう。

なお、ここで取り上げる指数について、今月からTOPIXの代わりにダウ平均株価を。また、東証グロース指数の代わりに、旧マザーズ指数がついに心機一転「東証グロース市場250指数グロース250)」という指数になったので、そちらを採用していきたいと思います。

TOPIXも大事な指標ではあるのですが、ここでは、より多くの人が見ている指標を追いかけていきます。

10月終値11月終値騰落率
日経平均株価30,858円33,486円+8.52%
グロース250648ポイント716ポイント+10.53%
ダウ平均株価32,928ドル35,950ドル+9.18%

11月相場で上がった株・下がった株

そんな2023年11月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄)。

・2023年11月の売買代金トップ20

コード銘柄売買代金
16920レーザーテック8.06兆円
28306三菱UFJフィナンシャル・グループ2.04兆円
37203トヨタ自動車1.89兆円
48035東京エレクトロン1.47兆円
58316三井住友フィナンシャルグループ1.12兆円
66857アドバンテスト1.06兆円
79984ソフトバンクグループ1.06兆円
89107川崎汽船9562億円
97011三菱重工業8981億円
106723ルネサスエレクトロニクス8954億円
119983ファーストリテイリング8667億円
126758ソニーグループ8449億円
138058三菱商事8010億円
146861キーエンス7762億円
156146ディスコ7671億円
167974任天堂6756億円
178411みずほフィナンシャルグループ6498億円
187267ホンダ6308億円
196526ソシオネクスト5677億円
206098リクルートホールディングス5656億円

・2023年11月の値上がり率トップ20

コード銘柄値上がり率
16072地盤ネットホールディングス+95.2%
23852サイバーコム+85.0%
36618大泉製作所+79.1%
42168パソナグループ+75.0%
54882ペルセウスプロテオミクス+73.9%
69268オプティマスグループ+73.2%
71904大成温調+71.9%
83784ヴィンクス+71.4%
97273イクヨ+70.2%
106871日本マイクロニクス+70.2%
112160ジーエヌアイグループ+70.1%
124414フレクト+67.5%
132453ジャパンベストレスキューシステム+66.1%
148854日住サービス+64.0%
156227AIメカテック+63.9%
166228ジェイ・イー・ティ+62.7%
176862ミナトホールディングス+62.6%
188783GFA+62.1%
196081アライドアーキテクツ+60.2%
206961エンプラス+60.1%

・2023年11月の値下がり率トップ20

コード銘柄値下がり率
13077ホリイフードサービス-42.2%
24334ユークス-38.6%
32334イオレ-38.4%
43070アマガサ-37.9%
56173アクアライン-35.0%
62345クシム-32.3%
72586フルッタフルッタ-31.9%
86249ゲームカード・ジョイコホールディングス-31.8%
92767円谷フィールズホールディングス-30.5%
104448Chatwork-30.4%
114598Delta-Fly Pharma-29.8%
129246プロジェクトカンパニー-29.4%
135242アイズ-28.6%
144393バンク・オブ・イノベーション-28.4%
156194アトラエ-27.8%
167716ナカニシ-27.2%
176223西部技研-27.1%
189090AZ-COM丸和ホールディングス-27.1%
197060ギークス-26.8%
205994ファインシンター-26.4%

11月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

売買代金ランキングの注目株

【第1位】レーザーテック<6920> 8.06兆円
【第4位】東京エレクトロン<8035> 1.47兆円
【第6位】アドバンテスト<6857> 1.06兆円
【第10位】ルネサスエレクトロニクス<6723> 8954億円
【第15位】ディスコ<6146> 7671億円
【第19位】ソシオネクスト<6526> 5677億円

10月に失速してしまった半導体が一気に復活の兆しを見せています。

高値を更新している銘柄も多く、売買代金も大きいものが多い(上位20銘柄中、半導体関連が6銘柄)ため、これらの銘柄が今後さらに上昇してくれば、全体を牽引して、日経平均も年末までに高値を大きく更新してくるかもしれません。

特に、売買代金トップを走り続けているレーザーテックの高値(上場来)は36,090円ですが、11月終値で33,040円まで上がりましたので、あと10%ほどの上昇で高値更新となります。

半導体株、そして日経全体の方向性と勢いを判断するために、このレーザテックの値動きは必ずチェックしておきましょう。

値上がり率ランキングの注目株

【第3位】大泉製作所<6618> +79.1%(724円→1,297円)
【第10位】日本マイクロニクス<6871> +70.2%(2,252円→3,835円)

3位の大泉製作所は、半導体関連企業のフェローテックホールディングス<6890>にTOBされるということで大きく上昇しました。10位の日本マイクロニクスも同じく半導体関連企業で、11月13日に発表した業績の上方修正をきっかけに大きく上昇しています。

どちらも売買代金ランキングの上位に入るほどの大きさはありませんが、半導体関連銘柄の強さを感じます。半導体関連、10月にいったん終わったと思いましたが、息を吹き返しました。しっかりと監視していきましょう。

・今後大きなテーマになるかも?

【第31位】さくらインターネット<3778> +54.9%(1,156円→1,791円)

ランキングは31位と振るっていませんが、今後気をつけておくと大きなテーマになるかもしれないのでピックアップ。同社はデータセンターを運営しています。生成AIももちろん需要として大きいのですが、個人や国家のデータ管理も非常に重要で大きな需要になってきます。

アマゾンの「AWS」やマイクロソフトの「Azure」などは、便利とはいえ、海外企業のサービスです。やはり、国家機密データは国内で管理すべし。そのために、国家予算を国内データセンター企業に投下します──

というようなことが度々ニュースになるため、国内データセンター運営会社として注目しておくといいかもしれません。

企業規模(500億円)に対して国から投下される予算の割合が大きかったり、または、地政学的リスクのような話になると防衛武器重工関連が買われやすかったりするのですが、今後はこういった企業も監視しておくといい気がします。

あ、ヤフー(日本)がLINE(韓国)と一緒になりましたね。そして、さっそく情報流出しましたね。LINEは便利ですが、どこまで利用すべきか迷いますね。

トレードやってて、こんなことまで考えるようになるとは思わなかったぜ。

「その日」まで、がんばる

株式投資の勉強を始めたのは、大学生の頃でした。その後、短期売買をメインに手がけるトレーダーに転身したのですが、投資について勉強したことは今でも役に立っています。

25年近く前、投資の勉強をしていれば必ず目にしたのが、伝説の投資家ウォーレン・バフェット氏とその盟友であるチャーリー・マンガー氏の、バークシャー・ハサウェイ。

お二人の健康リスクが会社の最大のリスクであったのですが、ついに2023年11月28日、バークシャー・ハサウェイ副会長のチャーリー・マンガー氏が亡くなりました。99歳でした。

バフェット氏はご健在とはいえ、1930年生まれの93歳です。

マーケットで売買をして生きている身としては、バフェット氏の存在は、とても大きく、安心できる、心のよりどころのようなものだと感じています。そのご盟友が亡くなったというのは、私にとってもとてもショックな出来事でした。

人はいつか必ず……。その日のために、なるべく早く稼ぎたいですね。そして、世の中の役に立つようなお金の使い方をしたい。がんばらなきゃな。

チャーリー・マンガーさん、お会いしたことはありませんが、ありがとうございました。謹んでお悔やみ申し上げます。そして、心からご冥福をお祈りいたします。

窪田 剛