<投資活動の実態調査>預貯金よりも投資信託・外国株の人気が上昇中 株式投資を行う人の8割超が損益プラスに


「株の学校ドットコム」では、全国20代~70代の男女2,000名を対象としたアンケートを実施し、人々の投資活動の実態を調査しました。さらに、株式投資の損益状況や情報源についても調査を行いました。

投資活動の実態調査

■全体の67%が何らかの「投資(預貯金を含む)」を行っている

全国の2,000人を対象とした投資活動の取り組み実態調査の結果、預貯金を含む何らかの投資活動を行っている人は67.1%でした。なお、2022年10月に行った同じ調査では67.4%だったため、この1年で大きな変化は見られませんでした。

《参考》<株式投資の現状調査 2022>

年代別で見ると、投資を行っている割合は、20代では46.7%と5割を切っているのに対し、60代では76.1%と4分の3を超えるまで上り、年代が上がるにつれて高くなる傾向が見られました。

■投資に取り組む3人に1人が「日本株」に投資(預貯金を除くと一番人気)

取り組んでいる投資の種類は、「預貯金(日本円)」が85.2%で断トツのトップ。続いて、「日本株(個別株)」が37.3%、「投資信託」が28.8%、「個人年金保険」が14.7%という結果でした(複数回答可)。

2022年10月に行った調査と比較すると、預貯金(日本円)、個人年金保険、FXを除く全ての項目で、取り組む人が増えています。政府が掲げる「貯蓄から投資へ」の動きがわずかずつ進行しているのではないかと考えられます。

最も数字が伸びたのは投資信託で、2.7ポイントの増加。次に、外国株(個別株)の2.0ポイントでした。つみたてNISAの活用が広がっていることや、昨今の米国株人気の影響が考えられます。

取り組んでいる投資の種類前回調査今回調査
預貯金(日本円)86.485.2−1.3
日本株(個別株)36.3%37.3%+1.0
投資信託26.128.8+2.7
個人年金保険15.114.7−0.4
外貨預金11.9%12.5%+0.6
外国株(個別株)7.99.8+2.0
国債6.4%7.0%+0.6
暗号資産(仮想通貨)5.6%6.6%+1.1
FX6.76.6−0.1
ETF5.0%6.0%+1.1
社債4.4%5.9%+1.5
不動産4.4%5.8%+1.4
REIT4.6%5.7%+1.1
金(Gold)4.7%5.7%+1.0
先物取引1.7%2.7%+1.0
オプション取引0.9%2.0%+1.1
CFD1.3%2.0%+0.7
仕組み債1.3%1.9%+0.6
バイナリーオプション1.3%1.8%+0.5
その他0.6%0.8%+0.2

■全体の半数以上がNISAは「今後も使わない」と回答

「NISA」についても質問しました。現在NISAを使っている人は511名で、全体の25.6%となりました。それに対して、「現在NISAは使っていないし、新NISAも使うつもりはない」と回答した人は1129名(56.5%)で、実に半数以上の人がNISAに魅力を感じていないことがわかりました。

ただ、「現在NISAは使っていないが、来年から新NISAを使いたい」という人も360名(18.0%)に上り、この人々が実際に利用を開始すると、NISAを利用する人は現状の7割増となります。新NISAのスタートにより、活用割合が高まることが期待されます。

株式投資の現状調査

■株に取り組む8割超が、保有株の合計損益が「プラス」に

株式投資を行っている550名に対して、現在の保有銘柄の合計損益について訊ねました。その結果、損益がプラスと回答した人の割合は81.5%。前回の2022年10月に行った調査より、14.4ポイントの増加となりました。

■株式投資では「個人が発信する情報」を参考にする人が増加

株式投資の取引において主に参考としているものについての調査では、「インターネットの無料の情報サイト(証券会社のホームページ以外)」と回答した人が最多で18.6%でした。前回の調査と比べると3.6ポイントの減少となっています(複数回答可)。

反対に前回の調査より増加したのは、「インターネットの掲示板やSNSの口コミ」が3.4ポイントの増加、「友人、知人からの情報」が2.4ポイントの増加となりました。

それに対して、「証券会社の営業やアナリストのアドバイス」「テレビの経済ニュース」「証券会社のホームページの情報」といった項目では数値が前回よりも減少しているため、大手が配信する情報よりも個人の発信する情報を参考にする人が増えていると考えられます。

主に取引の参考としているもの前回調査今回調査
インターネットの無料の情報サイト (証券会社のホームページ以外)22.218.6−3.6
テレビの経済ニュース18.917.6−1.3
証券会社のホームページの情報13.812.6−1.2
インターネットの掲示板やSNSの口コミ7.310.7+3.4
雑誌、新聞9.1%10.2%+1.1
証券会社の営業やアナリストのアドバイス10.68.9−1.6
自分の直感10.0%8.2%−1.8
友人、知人からの情報3.35.6+2.4
自分で研究した法則やルール3.3%4.7%+1.5
その他0.4%1.1%+0.7
投資顧問会社の有料情報0.7%1.1%+0.4
先生、師匠、メンターの教え0.6%0.7%+0.2

新NISAで「貯蓄から投資へ」は一気に進むか

今回の調査では、自身が行っている投資活動として「預貯金」を挙げた人の割合が、昨年の調査と比べて若干ではあるものの減少しています(86.4%→85.2%)。その反面、投資信託や外国株をはじめ様々な投資に取り組む人が増えています。

政府が進める「貯蓄から投資へ」政策の一環として、2024年から新たなNISA制度が始まります。NISAの利用率は現時点では25.6%に留まりますが、今は使ってないものの来年以降は活用したいと答えた人が2割近くいることを考慮すれば、「貯蓄から投資へ」の流れが一気に進むかもしれません。株式投資に取り組む人の8割以上が利益を得ていることからも、その意義の高さを確認できます。

ただ、株式投資にあたって「インターネットの掲示板やSNSの口コミ」を参考にする人が増加傾向にあることは、懸念すべき点として挙げられるでしょう。利用者の多いYouTubeやX(旧Twitter)で購入を勧める投稿が拡散されていた銘柄が、突然、3営業日連続のストップ安という大暴落を起こしたこともあります。それらの投稿を見て購入した人が多かったことも、被害が拡大した要因のひとつではないかと見られています。

インターネットの掲示板やSNSの口コミを安易に信じることは、非常に大きなリスクにつながります。株の学校ドットコムでは、何よりも「資金を守るリスク管理」の重要性を説いています。新たに株式投資をスタートする人が必要な知識を身につけ、自身で適切なリスク管理ができるよう、株の学校ドットコムでは引き続き取り組んでまいります。

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