<シニア世代の株式投資・実態調査>生活費や老後資金を目的にする人も 二極化するシニア間格差が垣間見える結果に


「株の学校ドットコム」では、9月18日の「敬老の日」にあわせて、シニア世代の株式投資の取り組みについて実態調査を行いました。

株式投資に取り組んでいる全国の60歳以上の男女1,000名を対象に、株式投資に取り組む理由や目標を聞いたところ、今の生活を豊かにするためという回答が多かった一方で、シニア世代になってなお「老後の不安」を抱えている人も多くいることがわかりました。

今年6月に行った「Z世代が株式投資に取り組む理由の調査」(対象:20〜30代の男女800人)では、「老後資金」など先々の将来を見据えた資産形成のためとする回答も多く見られましたが、それ以上に、生活費や趣味・旅行など「いま使えるお金」を増やすことを目指している人が多いことがわかりました。

《参考》Z世代が株式投資をする理由は? FIREより老後資金より「いま」が心配な切実な実情が明らかに

では、資産形成が進んだシニア世代はどうなのか。

株式投資に取り組んでいる理由は?

「あなたが株式投資に取り組んでいる理由は何ですか?」。この質問に対して、60歳以上から最も多く選ばれた理由は、「今の生活に使えるお金を増やすため」。回答率は48.6%で、実に半数近くが日々の生活費に充てるお金を稼ぐために株式投資に取り組んでいる実態がわかりました。

第2位は「趣味や旅行など自分のやりたいことに使うお金を増やすため」(38.7%)で、今の生活を豊かにすることへの関心が高いと考えられます。

その一方で、「人生100年時代を見すえた老後資金を準備するため」(37.3%)が第3位となり、シニア世代でも老後への不安を抱えている人が少なくないことがうかがえます。

第4位には「株式投資そのものが面白く楽しいため」(18.0%)、第5位には「頭の体操(脳トレ)、知的好奇心を維持するため」(16.0%)が入りました。あわせると全体の27.8%となり、利益だけでなく、趣味や楽しみとして株式投資に取り組んでいる人が4分の1以上いることになります。

上位の理由を見ると、総じて今の生活を豊かにすることへの関心が高く、ただし、人生の先行きに不安を抱えているシニア世代も一定数いることが見て取れます。

この結果を、5歳毎の年齢区分で細分化して見ると、「今の生活に使えるお金を増やすため」と、「人生100年時代を見すえた老後資金を準備するため」は年齢が上がるにつれて数値が下がる傾向がありました。

反対に、「頭の体操(脳トレ)、知的好奇心を維持するため」は年齢が上がるにつれて数値が上がる傾向がありました。年齢が上がるにつれて、株式投資を趣味や楽しみとしても取り組んでいる人が増えると考えられます。

株式投資に取り組む理由60歳~64歳65歳~69歳70歳~74歳 75歳~ 
今の生活に使えるお金を増やすため51.848.747.146.2
趣味や旅行など自分のやりたいことに使うお金を増やすため40.1%33.6%38.4%43.8%
人生100年時代を見すえた老後資金を準備するため41.640.734.730.8
株式投資そのものが面白く楽しいため19.3%19.5%13.9%21.9%
頭の体操(脳トレ)、知的好奇心を維持するため11.315.917.520.7
子どもや孫に援助する資金を増やすため10.9%10.6%15.4%18.9%
家や車などの購入、リフォーム資金を増やすため13.1%8.4%9.7%8.9%
株式投資で成功したいため7.7%10.6%3.9%7.1%
友人などの話を聞いて自分もやってみたくなったため7.3%4.4%4.2%5.9%
その他3.3%6.2%2.7%3.6%

株式投資で達成したい目標は?

次に、株式投資によって達成したい目標について、自由記入形式で回答してもらいました。

「配当でプラスの生活を楽しみたい」「趣味の旅行資金捻出の為」「遊び感覚で楽しんでいます」といったコメントが多くみられる一方で、年金だけでは不足する生活費を何とか補填したい、老後を不安なく安心してすごしたいといった切実な回答も多く寄せられました。また、なかには過去の損失を取り戻したいという声も。

「損をしなければ遊び感覚で楽しんでいます」(70歳・女性)
「ボケ防止に視野を広く、楽しみな優待もあり経済も学ぶことが多い」(78歳・女性)
「株購入時に思い描いた成果が得られるかそのプロセスのワクワク感がたまらない」(70歳・男性)
「600万円貯めて世界一周旅行がしたいため」(78歳・男性)
「セカンドハウスのメンテナンス」(76歳・女性)
「株式投資を通して世界の社会状況が学べる。そして少しお金を増やしたい」(74歳・女性)
「老人ホームのランクアップ」(80歳・女性)
「上がり下がりで 喜び、落ち込みの繰り返し その中で学ぶ事も多く メンタル強くなる」(70歳・女性)
「ゲーム感覚で金額をUPさせる」(62歳・男性)
「投資で儲けた果実をまた投資に使ってより大きく財産を増やすことを繰り返して成長を見て楽しむ」(67歳・男性)
「年金だけでは生活できないので一定の生活ができるように運用したい」(61歳・男性)
「今後の生活が不安なく安心して暮らせるだけの資金作りです」(70歳・女性)
「お金がなくて、惨めな生活にならない、気持ちのゆとりが欲しいから」(65歳・女性)
「普通の生活水準を確保したい」(74歳・男性)
「老後を心配したくない」(60歳・女性)
「子供の生活を安定させたい、自立出来てない息子の為に。」(71歳・女性)
「誰にも迷惑をかけずに人生を終わらせる為の老後資金作り」(69歳・男性)
「年を取っても普通の物を食べられるように。」(65歳・男性)
「バブル期に約2000万円の損失をだしました。その損失を取り戻したく頑張っています」(71歳・男性)
「累積マイナスを解消したい」(64歳・男性)

なお、「株式投資によって実現したい目標」について「特にない」や「分からない」という回答は11.6%ありました。先の調査における20代、30代の回答では19.6%となっており、若者世代よりもシニア世代のほうが目標を持って取り組んでいることがわかります。

シニア世代間の格差解消にトレードという選択肢

今回の調査では、60代以上のシニア世帯が株式投資に取り組む背景として、総じて今の生活を豊かにすることへの関心が高く、またシニア世代であっても老後不安が少なくないこともわかりました。そして、具体的な目標へのコメントでは、同じシニア世代間であっても生活をよりプラスにしたい人と、マイナスの生活を補填したい人の二極化を感じる結果となりました。

シニア世代はすでに『資産形成』が完了している人とそうでない人の差が大きな世代であると考えられます。若者世代とシニア世代の格差が取り上げられることも多いですが、同じシニア世代間でもやはり格差が存在し、二極化していることがうかがえる結果となりました。

シニア世代が株式投資に取り組む場合、長期的な株価の上昇を期待するには十分な投資期間が持てないことがあります。配当や株主優待を楽しむのではなく、現在の生活や旅行などの費用を株で賄いたいと考えるなら、長期投資よりも「短期トレード」が向いています。短期トレードは一定のレベルの知識やスキルが必要ですが、それらを正しく身につけることができれば現役時代の給与並みの収入を得ることも可能です。

高齢であっても無理なく、日々の充実感や楽しみ、そして利益を手にできる選択肢のひとつとして、株式トレードは十分な要件を備えています。 ただし、トレードに限らずすべての投資にはリスクがつきものですので、しっかりとした勉強をしてから取り組むべきであることは言うまでもありません。

私たち株の学校ドットコムは、2009年の開校以来、一貫して「投資とトレードの違い」を知ることの重要性を発信し続けています。実に多くの人が、自分に必要なのは「投資」なのか「トレード」なのかもわからずに、混乱したまま株式投資に取り組んでいるからです。それでは、ただ霧に向かって奔走しているようなもの。その霧を晴らして道を示すことが、私たち株の学校ドットコムの役割だと考えています。

これからも、世間では中々伝えられることの少ない「トレードの本質」に焦点をあてた講義で、一人でも多くの方のお役に立てるよう努めて参ります。

なお、テレビ番組でも取り上げられて話題の「高齢トレーダー」について、その実態調査を行っています。
《参考》話題の「高齢トレーダー」、その実態は。株式トレードに取り組む理由は「定年後の生きがい」「ボケ防止」のほかに「長期投資する時間がない」も

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