新NISAのスタートや日経平均株価の上昇などを背景に、2024年は株式投資にかつてない注目が集まっており、これを機に新たに株式投資を始めた人も多くいます。では、株式投資に取り組んでいる個人投資家は、具体的にどんなきかっけから株式投資を始めたのでしょうか?
株の学校ドットコムでは、全国の株式投資に取り組む20代~70代の男女800名に、株式投資を始めた「きっかけ」についてアンケート調査を実施しました。
「老後資金を作るため」が最多の4割超
「株式投資を始めたきっかけは何ですか? あてはまるものをすべて選んでください」という質問に対して、最も多くの回答数を得たのは「老後資金を作るため」でした。800人のうち4割を超える335人(41.2%)がこの項目を選び、2位以下を大きく引き離す結果となりました。
2位には「日々の生活費や趣味のお金を作るため」215人(26.7%)、3位には「旅行など、やりたいことに使えるお金を作るため」162人(20.3%)が入りました。
4位には現在注目を集めているNISAが入りました──「NISAが話題になっていたから」137人(17.1%)。今年からスタートした新NISAが話題ですが、NISA制度自体は2014年に始まっています。すでに10年が経っており、その影響力が着実に伸びていることがうかがえます。
さらに、このうち「最も大きなきっかけとなったもの」について尋ねたところ、1位はやはり「老後資金を作るため」(227人・28.4%)、2位も「日々の生活費や趣味のお金を作るため」(96人・12.0%)で上位は変わりませんでしたが、3位には「家族や友人・知人に勧められたから」(87人・10.9%)が浮上しています。
株式投資を始めたきっかけについて、より具体的に記述してもらったところ、実に様々な声が聞かれました(一部抜粋)。
- 「メディアや家族や友人含む周囲の人達がNISAを始めて、1年後、2年後と資産が増えていっている話を聞いて私も初めてみたくなって勉強を始めました」(35歳・女性)
- 「貯蓄から投資へというスローガン的なフレーズをテレビのニュース等で聞いて興味を持った。ジェイコム男が現れて世間を賑わしていたのを見聞きして株式投資やデイトレーダーに興味を持った。」(57歳・男性)
- 「子供のころに母親が優待の桐谷さんの本を図書館から借りてきて、その本が面白かったから」(20歳・男性)
- 「父親の仕事が金融業界であった為、株式投資を身近感じる環境であった。社会人の経験を積み重ねた結果、自分自身の資金が貯まり、効果的な運用をしたいと感じた」(59歳・女性)
- 「子供に老後迷惑かけたくないので、その為に増やしたいと考えた」(49歳・女性)
- 「母親が株主優待でファミレスで食事しているので自分もそうしたいと思った」(45歳・女性)
- 「会社の先輩が新聞の株式情報を職場で見ていて、色んなことを教えてくれたので、興味を持ち40年前に株式購入を始めた。」(65歳・女性)
- 「親がなくなり、親の持っていた株式を譲り受けたのと、銀行預金も相続したのでそのお金の一部も投じて、株式投資と投資委信託を購入した」(67歳・男性)
若者は「老後」よりも「日々」のため
この結果を年代別に見ると、どの年代も「老後資金を作るため」の順位が高い点は共通するものの、その他は年代によって異なる傾向が見られました。
なかでも20代は、すべての年代で唯一「老後資金を作るため」(15.7%)が1位ではなく2位となり、1位には「日々の生活費や趣味のお金を作るため」(17.6%)が入りました。また、全体では11位だった「家や車など、ほしいものを買うお金を作るため」(11.1%)が3位にランクインしています。
そのほか、40代・50代ではともに、全体で10位だった「子どもの教育費を作るため」が6位に浮上。また、「NISAが話題になっていたから」は、20~40代では上位に入っているものの、年代が上がると、真ん中よりも下の順位となっています。
その一方で、年代が上がるほど回答数が増えたのが「その他」で、特に60代では2位に入っています。その内容は、「会社の持株会」という回答が最も多く、その他には「親の保有株の相続」「余剰資金の運用」「証券会社に勤務していたので」「定期預金が満期になった」「勉強のため」といった回答がありました。
約8割の人が株式投資をやって「よかった」
今回の調査では、「株式投資を始めてよかったと思っていること」についても、自由記述で回答してもらいました。「まだわからない」「特になし」といった回答もあったものの、何かしらよかったと思うことを回答した人は622人(77.8%)に上り、約8割の人が株をやってよかったと感じているようです。
具体的な回答をいくつかご紹介します(一部抜粋)。
- 「様々な会社を知ることができたこと、配当金は低いですが、少しずつ購入したことで現在の株価が上がる波に乗って、購入した株の値段が上がり、老後に少しずつ売ることで数年ですが生活を支えられる段階になっていること」(42歳・女性)
- 「しっかりと見極めてから投資すれば大損するという可能性は少なく、お金にも心に余裕を持って投資し続ければ着実に資産は増えることが分かったので、より生活が豊かになりました」(41歳・男性)
- 「経済ニュースを見るようになり・・・そこから・・・世界情勢や経済のことなど・・・関心が持てるようになり・・・若者世代とも会話できるようになりました」(73歳・女性)
- 「少額だけど定期預金より儲かったことと、今まで知らなかったたくさんの会社を知れて何をしているかなど知ったことで買い物などに良い影響がでたこと」(47歳・女性)
- 「市場の動きに注目するようになり、そこから世界の動きに関心を持つようになった」(21歳・男性)
- 「世界のニュースに目を向けるようになったことが良いこと。結果的に資金は増えているので、金銭的な不安が軽減し、何事においてもどんと構えられるようになった」(44歳・女性)
- 「大きな儲けは出せていないが、儲かったお金で旅行に行ったり、家電を買ったりしている。また、優待を使って家族で食事に行ったりしている」(67歳・男性)
- 「チャートの見方など勉強して新しい知識を得られたこと、政治や経済の動きに対して関心を持つようになったこと、貯金だけと比べて利益が得られちょっとしたお小遣い程度は稼ぐことが出来ること」(33歳・女性)
株で人生を豊かにする人を増やすために
株式投資に取り組む800人を対象とした今回の調査からは、株式投資を始めるきっかけとして最も多いのは、やはり「老後資金を作るため」であることがわかりました。ただ、次に多かったのは「日々の生活費や趣味のお金を作るため」で、先々の心配とともに、今のお金を増やしたいという思いも汲み取れます。
家族・知人やSNSを含むメディアの影響から株式投資を始めた人も多くいましたが、その一方で、約8割の人が「株式投資をやってよかった」と思っていることも明らかになりました。
その背景としては、直近の株価上昇もあり、利益を得られたことや、それが生活の支えになっていることに関する回答が多く見られましたが、その他にも「世界のニュースに目を向けるようになった」「若者世代とも会話できるようになった」など、利益だけではない人生へのプラスの影響についての回答も目立ちました。
株の学校ドットコムでは、人生を豊かにすることができる株式投資・トレードに、より多くの方が取り組むきっかけを得られるよう、これからも様々な啓蒙活動を続けてまいります。