プロトレーダーの注目株 2022年9月編
ついに海運バブルが終焉… 暗く沈む相場でプロトレーダーがいま、心から思うこと
日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか?
講師の窪田剛が、3つのランキングから9月相場を振り返ります。
9月相場を振り返って
「SNSを信じるな!」──心からそう感じた9月でした(詳しくはコラムの後半で説明しているので、ぜひ読んでください)。
9月の日経平均株価は7.67%の下落と、見事に底抜けてしまいました。9月前半までは28,000円を超えており、いい感じだったのですが、その後失速。終わってみれば25,937円と26,000円も割れて終わってしまいました。
為替も、ドルを中心に日銀の介入まであったのですが、結局は元の水準(145円付近)まで戻ってしまっています。
日々値上げされる物価、上がり続ける社会保障、下落し続ける給与。「暗い未来しか見えない……」そんな声が聞こえてそうですが、泣き言をいっていても始まりません。何があってもマーケットは無くならないし、チャンスはある。
株価が下がっても、チャンスは無くならないのです。チャンスを活かしてみなさんを稼げるようにするのが、そう、このコラムです。しっかり読んで、チャンスに備えてくださいね!
指数 | 8月終値 | 9月終値 | 騰落率 |
日経平均株価 | 28,091円 | 25,937円 | -7.67% |
TOPIX | 1,963ポイント | 1,835ポイント | -6.52% |
東証グロース指数 | 943ポイント | 883ポイント | -6.36% |
9月相場で上がった株・下がった株
そんな2022年9月の株式相場を売買代金と値上がり率・値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:CMBトレード塾)。
・2022年9月の売買代金トップ20
・2022年9月の値上がり率トップ20
・2022年9月の値下がり率トップ20
9月相場でプロが気になった銘柄
このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。
・売買代金ランキング
【第2位】日本郵船<9101>……1.37兆円
【第9位】商船三井<9104>……9575億円
【第13位】川崎汽船<9107>……6191億円
邦船3社、ついに落城しました。
2021年6月に初めてピックアップ(参照▶明暗の分かれる梅雨相場…)してから1年と4か月、相場を牽引してきた海運株ですが、業績の一服と、いわゆる“海運バブル”の行き過ぎの是正により大きく下落しました。
値下がり率ランキングに入るほどではありませんでしたが、時代を築いた銘柄・値動きとして覚えておきましょう。
邦船3社の2021~2022年のチャートは「絶対に覚えておくべき」「トレードの教科書に載る値動き」です(どんな相場関係者も同意してくれると思います)。
「あの時の海運はすごかったよ」
10年後、ぜひドヤ顔で後輩に言ってあげてください。
【テストに出る!コロナ後海運バブルのモメンタム】
- 2021.06:コロナ終わった! 経済回復や! モノが動く! 海運くるで! ↑↑
- 2021.08:コロナ収束で経済再開。物流絶好調アゲアゲ ↑↑↑
- 2022.06:中国ロックダウンで一時下落 ↓↓
- 2022.07:中国再開でまだまだ行くぜ! 配当もめっちゃ出すよ! ↑↑
(利回り10%程度/株価3,000円・配当300円) - 2022.08:景気良すぎてインフレ。ヤバいから利上げするわ ↓
- 2022.09:インフレも利上げもヤバい景気減速で株価下落 ↓↓↓↓
【第1位】レーザーテック<6920>……1.73兆円
【第4位】東京エレクトロン<8035>……1.12兆円
2019年から2022年初頭まで相場を牽引していた半導体銘柄のトップ2が、残念ながら下落継続となってしまいました。2022年1月に高値を付けてから下落開始。6月に底を付けて反発開始かと思いきや、再度大幅下落。一度終わって、下げ止まったという安心感を見事に打ち砕く9月相場でした。
こりゃあ、しばらく景気は下方向かな、と思ってしまうような下落。もちろん、そうならないことを祈っています!!(でも、ポジションは売り目線。それがトレーダー)
・値上がり率ランキング
【第6位】ANYCOLOR<5032>……+58.0%(7,290円→11,520円)
6月に株価6,540円だったとき、私、言いましたよね? 「手出し無用」って……(コチラを参照▶酷暑とともに大きな相場がやって来る?…)。
それが、どうですか。それからほぼ倍です。好業績を好感して株価ぶっ飛んでます。涙なしには語れない。買っておけばよかった結果論。でも俺は、こういう銘柄で利益を上げられない(涙)
上場銘柄は4,000近くあります。その中で利益を上げればいい。値動きがいい銘柄で、かつ、自分のルールに合致する銘柄で勝てばいいんです。ANYCOLORは私のルールの間合いに入ってこなかっただけ。うん。俺が悪いんじゃない。俺のルールが悪いだけ。
これでいいんだ。
これでいいんだ。。
これでいいんだ。。。
こういう銘柄はたくさんあります。すべてのチャンスをGETする必要はないし、自分が勝てるところだけ勝てばいいんです。ゆっくり、着実に利益を積み重ねるのが大事。
でも、自分の考えが「今は」間違っていた、と認めることも大事だと思ってピックアップさせていただきました。
ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
悔しいですわーーーーー!!!(ANYCOLOR所属タレントのモノマネ)
・値下がり率ランキング
【第4位】ダブル・スコープ<6619>……-43.7%(2,350円→1,322円/売買代金5位:1.05兆円)
高値3,175円を付けてから連続ストップ安があり、反発もなく1,322円まで下落しました。
これに関してはいろいろ思うところがあるのですが(株の学校ドットコムの受講者向けに書いた号外コラムも、ぜひご覧ください)、ここ数年のマーケット関連の出来事の中で大きいと思うことがあるのでお伝えします。
「SNSを信じるな」
そもそもこの銘柄は、子会社が韓国で上場するから大きな利益が見込める、ということでSNSで爆発的に広まっていたのですが、結局「そんな儲からないのでは?」ということで株価が暴落。多くの人が多大な損失を抱えてしまった、という経緯があります。
YouTubeやツイッターにより、声の大きい人が「この株いいよ」「この株、儲かるよ」と発信し、多くの人がそれを信じています。でもね。
もう一度言います──「SNSを信じるな」。
もちろん、善意で発信している人も多くいます。でも、一度すべてを疑って、ちゃんと自分で考えてほしいと思います。このコラムだって疑って読むべきなんです。
あなたの利益はあなたのものです。
あなたの損はあなたのものです。
SNSで有名な人があなたの損失を肩代わりしてくれるわけではありません。このコラムで儲かっても損しても、それはあなたのものです。
しっかりと「自分で」決断し、行動し、利益を得てほしい。その力を付けてほしい。そのために、このコラムが少しでも役立てば嬉しいです。
【第6位】アンジェス<4563>……-39.7%(352円→212円)
バイオ関連銘柄です。この連載では何度も「バイオは手出し無用」と伝えています。
同社はコロナ初期に期待で上がり、結局ダメでした、といういつものパターンです。税金も注入されて、マーケットからも資金調達して、多くの期待した株主、納税している国民の期待を裏切ることになった会社です。もちろん、悪いのはお金を出した国であり、出資した株主です。会社ではありません。
ここで何度も言っていますが、本当に素晴らしい研究をしているところはたくさんあります。でも、創薬って、宝くじを当てるより難しいんです。そして結局、みんな失敗、損するのです。
ちゃんと研究していて損するならまだ納得できるかもしれませんが、最初から騙す目的の会社もあります。どうせ99.9%は失敗するんだから騙してもわからないでしょ、という会社もあります。だから、手出し無用なんです。
夢を見たいのはわかる。でも、バイオには手を出すな。
何度でも言います──「バイオには手を出すな」。
フェアな戦いで勝ちたい
今回は言葉が強くなってしまいましたが、心から伝えたいことは「SNSを信じるな」「バイオには手を出すな」です。
マーケットって、きれいごとばかりではないし、ダマし合いの側面もあります。私だってトレーダーなので、マーケットを通してみなさんと戦っている側面もあります。でも、フェアな戦いで勝ちたいと思っています。騙して勝ちたいなんて思わないし、そもそも騙したからって勝てるとも思っていません。
「みんな同じリングに上がってきなよ! 俺は負けないよ!」
という思いなんです。
私は、リングに上がる人が増えて、稼げる人が増えれば増えるほど、パイが増えると信じています。100あるパイの中から頑張って1を得るよりも、パイ全体を10,000にして10を得られれば、10倍の利益じゃないですか。それは、100倍、1000倍、1万倍だって可能だと私は思っています。
投資やトレード、どんなスタイルにせよ、マーケットという場所で稼いで夢を叶える人が増えるのは素敵なことだと思うし、だからこそフェアな舞台であるべきだと私は思っています。
ええ、きれいごとです。
きれいごとを言ったっていいじゃないですか。一度きりの人生だもの。
とにかく! 繰り返しますが、「SNSは信じるな」「バイオには手を出すな」。
それでは、年末まであと3か月、張り切っていきましょう!
(株の学校ドットコム講師・窪田 剛)