ランキングで振り返る2022年相場
実は大相場への前兆? 厳しくなる2023年相場でプロが期待する銘柄とは
いよいよ始まる2023年相場では、どんな銘柄に注目すべきか。
講師の窪田剛が、5つのランキングから2022年相場を振り返り、2023年を展望します。「逆にチャンスがあるのでは?」と思う、その理由とは?
ランキングで振り返る2022年相場
2022年の日経平均株価は、始値29,098円、安値24,681円、高値29,388円、終値26,094円と推移し、年始からは約10%の下落となりました。
コロナバブルの崩壊による米ナスダックやグロース株の下落。そして何と言っても、ロシアによるウクライナ侵攻。そこから始まった大幅なエネルギー価格の高騰と、円安。さらに年末の日銀による実質利上げ。
コロナ収束による人の流れの再開や、世界が開かれるといった明るい話題もありましたが、総じてマーケットには逆風が続き、弱さの目立つ一年でした。
そんな2022年相場ではどんな銘柄が大きく動いたのか。1年間の株価データをもとに5つの「トップ100社ランキング」を作成。そこから、来たる2023年相場を展望します(各ランキングは記事末尾に掲載しています)。
- 売買代金トップ100(2022年の売買代金の総和)
- 値上がり率トップ100(2021年終値と2022年終値の比較)
- 値下がり率トップ100(2021年終値と2022年終値の比較)
- 瞬間的上昇トップ100(2021年終値と2022年高値の比較)
- 瞬間的下落トップ100(2021年終値と2022年安値の比較)
2022年相場で上がった株・下がった株
5つのランキングから、私・窪田が2023年相場で注目したい銘柄をピックアップします。
・エネルギー関連
ロシアがウクライナに攻め込み、経済制裁が行われ、ロシアのガスや原油がストップしたことにより、世界中でエネルギー価格が高騰しました。著名投資家のウォーレン・バフェット氏は石油や天然ガスに大きく投資。日本の5大商社株も買い増しし、あらゆるエネルギーに張っているように見えます。
世界的に見ても、SDGsや再生可能エネルギーへの意識が強まっています。ただ、石油や天然ガス、石炭などの旧来のエネルギー関連は、需要はあるのに新規の投資は入りづらいため、既存の古い設備を更新しづらい状況です。
新規の設備投資がない分、利益は積み上がる。その一方で、再生可能エネルギーが立ち上がるまでにはまだまだ時間がかかるので、それまでの間に大金を稼ぐ──そんな未来を見ているのではないでしょうか。
あれ、いまからでも十分に間に合うのでは? 2023年以降も注目です。
- 三菱商事<8058>……売買代金18位(4.90兆円)
- INPEX<1605>……売買代金22位(4.54兆円)
- 三井物産<8031>……売買代金31位(3.97兆円)
- 伊藤忠商事<8001>……売買代金46位(3.23兆円)
- 丸紅<8002>…………売買代金60位(2.57兆円)
- コマツ<6301>……売買代金66位(2.38兆円)
- ENEOSホールディングス<5020>……売買代金75位(2.15兆円)
- 住友商事<8053>……売買代金86位(1.90兆円)
- 住石ホールディングス<1514>……値上がり率14位(+180.7%:140円→393円)
- 三井松島ホールディングス<1518>……瞬間的上昇70位(+142.7%:1,891円→4,590円)
・防衛重工業関連
ロシアとウクライナの戦争によって、改めて地政学的リスクが顕在化しました。ロシアだけでなく、中国、北朝鮮など、地理的に近い国について再意識せざるをえない年となってしまいました。
日本でも、岸田政権が防衛費のための増税を検討しているというニュースが出るなど、事あるごとに注目されたセクターとなりました。引き続き注目していきましょう。ランク外の2社もあげておきます。
- 三菱重工業<7011>……売買代金36位(3.7兆円)、値上がり率53位(+96.8%:2,659円→5,234円)
- 川崎重工業<7012>
- IHI<7013>
・リオープン関連
コロナ禍が続いていましたが、ヨーロッパは2022年の春先くらいから国をオープンにして、マスク不要、観光客ウェルカム状態になっていました。それに続いて、観光立国のタイやゼロコロナ政策をしていた中国でさえも方針を転換し、世界中で人の往来が再開されています。
それを見越して、いわゆるインバウンド銘柄がリオープン銘柄として注目される場面が増えました。
- 資生堂<4911>………売買代金49位(3.04兆円)
- 日本航空<9201>……売買代金53位(2.83兆円)
- 東日本旅客鉄道<9020>……売買代金54位(2.81兆円)
- 東海旅客鉄道<9022>……売買代金57位(2.60兆円)
- 西日本旅客鉄道<9021>……売買代金90位(1.82兆円)
- 日本駐車場開発<2353>……値上がり率33位(+124.6%:138円→310円)
- ラオックスホールディングス<8202>……瞬間的上昇65位(+144.9%:167円→409円)
・為替関連
2022年の年始に115円だったドル円は、10月に150円まで下落しました。ここまで急激な円安はなかなかないため、円安で売買が活発になった企業をピックアップしてみました。
ただし、円安で利益が押し上げられるというよりも、原材料高や不景気による商品自体の売れ行きの鈍化懸念などの側面もあり、「円安=買い」という単純さはありませんでした。でも、ここまで為替が動いたため、記録の意味でもここにピックアップさせていただきます。
年末には10年以上続いた異次元緩和の方針転換があり、今度は急激な円高になりました。2022年は為替に振り回された一年という見方もできます。
- 三菱自動車工業<7211>……売買代金78位(2.02兆円)
- SUBARU<7270>………売買代金92位(1.79兆円)
・銀行
2022年を通して注目されたというよりも、年末に滑り込んできた大きなトピック「日銀の実質利上げ」で一気に注目が集まったセクターです。プラスの面ばかりではありませんが、今後の収益拡大期待もあり、2023年も注目しておきたい銘柄群です。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>……売買代金9位(10.48兆円)
- 三井住友フィナンシャルグループ<8316>……売買代金13位(7.20兆円)
- みずほフィナンシャルグループ<8411>……売買代金38位(3.48兆円)
- りそなホールディングス<8308>……売買代金97位(1.75兆円)
- 富山第一銀行<7184>……値上がり率50位(+98.3%:295円→585円)
- 北國フィナンシャルホールディングス<7381>……値上がり率78位(+78.0%:2,550円→4,540円)
- 東京きらぼしフィナンシャルグループ<7173>……値上がり率97位(+71.9%:1,518円→2,610円)
- 千葉興業銀行<8337>……値上がり率98位(+71.6%:265円→455円)
グロース株への逆風
コロナ禍で、出社しなくても働けるリモートワークや個人向けサービス、それに伴うさまざまなネット企業の株価が上昇。日本だけでなく、アマゾンドットコムやZOOM、ネットフリックスなど多くのネットサービス企業の株価が大きく上昇し、そして2022年に大きく下落。株価は半分以下になりました。
株価は下がりましたが、多くの企業は素晴らしいサービスを提供し続けていますし、伸び続けている企業もあります。期待が大きかったがゆえに大きく上昇し、その分、下落しただけと見ることもできるので注意が必要です。
- プレミアアンチエイジング<4934>……値下がり率2位(-83.5%:9,250円→1,521円)
- マクアケ<4479>……値下がり率24位(-69.9%:4,340円→1,306円)
- ネットプロテクションズホールディングス<7383>……値下がり率27位(-69.1%:1,554円→479円)
- BASE<4477>……値下がり率51位(-61.6%:616円→236円)
- 弁護士ドットコム<6027>……値下がり率68位(-57.3%:6,090円→2,596円)
- フリー<4478>……値下がり率89位(-53.9%:6,360円→2,928円)
- メルカリ<4385>……値下がり率90位(-53.9%:5,860円→2,699円)
2023年相場に向けて
2022年末、日銀による突然の「実質利上げ」により、マーケットは大きく下落してしまいました。10年続いた異次元緩和の突然の終了によって、2023年の環境は厳しくなる可能性があります。
ですが、そもそも昨年は2021年に続いて大きな期待があったのに、年初に高値をつけた後は環境が悪くなってしまった。いま現在、2023年の相場は悪くなりそうなので、逆にチャンスがあるのでは? そう思ってわくわくしている自分がいます。
2009年に民主党政権が発足してから2012年の年末まで日経平均株価は1万円をなかなか超えられず、7,000円台まで下落するなど、マーケット的には「誰も期待していない」期間が続きました。そんな、誰も注目も期待もしていなか、突如としてアベノミクスという大相場が始まりました。
「過去から学ぶ」ではありませんが、大相場は誰も期待していないところから始まります。
それがいつ来るかはわかりませんが、2023年はそれを辛抱強く待ちたいと思っています。そして、できればウサギのように飛び跳ねて、月まで飛んでいくような相場が、卯年の今年にやって来るといいなと願っています。
そのためにも、まずは2022年のランキングをしっかりと振り返って、どんなときにどんな銘柄が注目されるのかを学び、今後に生かしてほしいと思います。
さあ、2023年相場が始まるよ!
(株の学校ドットコム講師・窪田 剛)
2022年トップ100社ランキング
(データ提供:CMBトレード塾)