プロトレーダーの注目株2023年3月編(株の学校ドットコム 窪田剛)|株の学校ドットコム
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ランキングで見るプロの注目銘柄 2023年3月編

WBC優勝で相場も大谷フィーバー 新年度に向けてプロが期待を寄せる銘柄とは

日々相場と向き合うプロトレーダーは、いまどんな銘柄に注目しているのか?
講師の窪田剛が、3つのランキングから3月相場を振り返ります。

3月相場を振り返って

SVB(シリコンバレーバンク)破綻!
WBC(ワールドベースボールクラシック)優勝! 大谷翔平すごい!

3月はSVBとWBC、この2つで話題が尽きませんでした。

まずはWBC。序盤戦が日本国内開催だったため大いに盛り上がり、その勢いのまま、見事優勝となりました。サッカーワールドカップでも同じですが、国民が一丸となって応援している日本チームが勝つたびに、街の雰囲気も、メディアも盛り上がります。

そして、「関連」していると考えられる銘柄の株価が大きく上昇します。

ワールドカップのときは、放映権を得たサイバーエージェント<4751>と、みんなで盛り上がれる場を提供していたハブ<3030>が大きく反応していました。アシックス<7936>やゴールドウィン<8111>、ミズノ<8022>、デサント<8114>などのスポーツ用品メーカーも盛り上がりを見せていました。ただ、アルペン<3028>やゼビオ<8281>などはあまり反応していませんでした。

大きなイベント、日本人選手の活躍、そしてSNSなどでの口コミにより拡散されることで、「関連銘柄」の「連想買い」が起きやすい時代になったのだと思います。いい部分だけではないので、十分に気をつけながら次のチャンスを拾っていきたいですね。

銀行の破綻とマーケットの混乱については最後のまとめで触れたいと思います。

3月相場で上がった株・下がった株

そんな2023年3月の株式相場を、売買代金値上がり率値下がり率のランキングで振り返ってみたいと思います(太字はピックアップ銘柄/データ提供:CMBトレード塾

・2023年3月の売買代金トップ20

・2023年3月の値上がり率トップ20

・2023年3月の値下がり率トップ20

3月相場でプロが気になった銘柄

このランキングの中から、私・窪田が気になった銘柄をピックアップします。

・売買代金ランキング

【第1位】レーザーテック<6920> 4.7兆円
【第4位】東京エレクトロン<8035> 1.33兆円
【第15位】信越化学工業<4063> 6119億円
【第20位】アドバンテスト<6857> 4866億円
【第25位】ルネサスエレクトロニクス<6723> 4367億円

先月から引き続き強い半導体セクターです。高値を更新し続けており、アメリカの半導体銘柄をまとめたSOX指数も持ち直してきており、まだまだここから、という感じがします。

一方で、レーザーテックと東京エレクトロンという二大巨頭の株価が冴えないのが気になります。ただ、今まで上がりすぎていたため長めの調整中で、今後のさらなる飛躍に向けた長い準備期間と見ることもできます。

期待の大きい半導体セクターですが、トレードにおいて何より大事なのは株価です。業績やニュースに引っ張られないで、株価が下落したのであれば、しっかりと損切りすることを常に意識して、このセクターと付き合っていきたいですね。

【第6位】日本郵船<9101> 1.2兆円
【第11位】商船三井<9104> 8408億円
【第14位】川崎汽船<9107> 6816億円

配当利回りが10%を超える海運業界ですが、ついに3月本決算を迎えました。

ただ、いままでは業績も配当もよかったけれど、今後この勢いが続くかどうかは不明。いくら配当がいいからと言って、それ以上に株価が下落してしまえばなんの意味もないし、業績がいいとしても先行きが見通せないと、株価は上がりにくい。

さて、そんな海運業界は今後どうなっていくのか。しっかりと見ておいたほうがいいセクターであることは間違いありません。引き続き、追いかけていきましょう。

・値上がり率ランキング

【第13位】大谷工業<5939> +58.3%(4,230円→6,700円)

終値こそ6,700円ですが、一時は16,050円(約4倍)まで駆け上がりました。通信インフラを支える金物などの会社で、派手さはないのですが、会社名が「大谷」なので、WBCで大谷翔平選手が活躍するたびに買われて、とうとう4倍まで上昇しました。

大谷選手と大谷工業はなんの繋がりもないので、株価が上がる理由は本質的にはないのですが、こういったことはマーケットではよく起こります。

「誰かが買うかもしれない」「実際に上がっている」「もっと上がるかもしれない」……。いろいろな思惑によって、破綻する企業の株価が大きく上昇することもあるし、まったく関係ないけど名前が同じだからという理由で株価が上がることもあります。

こういう“やんちゃ”で意味不明なマーケットは「愛せるかわいいやつ」とは思えるのですが、自分で売買しようとは思いません。遠くから眺めて「またやってるな」と思っておけばいいのです。決して無用なマネーゲームに参加しないようにしてください。

注意喚起の意味を込めてピックアップしました。

仕切り直して、マーケットを楽しもう!

日経平均株価は3月前半に大きく上昇し、28,500円も超えてきました。この調子で年度末までいくかな?と思っていたところにSVBの破綻。そして、世界9大銀行であるクレディ・スイスが信用不安によりUBSに買収されることになってしまい、株価も大きく下落してしまいました。

金利が上がっているから銀行は儲かるはず、という思惑で銀行関連は買われており、他の業種も大きく買われていましたが、そこに突然、銀行破綻というニュースが飛び込んできて、一気に金融不安に突入する寸前まで行きました。

しかし、各国中央銀行の素早い判断と行動により、(今のところ)リーマンショックのような危機は脱したように感じます。3月は大きな混乱がありましたが、仕切り直して、新年度はしっかりとトレードで利益を出していきたいですね。

そうそう。WBC関連でもうひとつ。なんと大谷翔平が広告モデルになっていて、大いに売れた化粧品があるんですよ。コーセー<4922>っていうんですけどね。株価、どうなったと思います? そんなの絶対上がるでしょ!って思うよね?? ね???

そう甘くはありませんでした。

実際に売上が上がっても株価は上がらず。かたや、会社名に「大谷」がついているだけで売上には無関係。でも、そんなほうが上がるんですよ(苦笑)。そんなことが起こるのもマーケット。ね? 楽しいでしょ?

新年度も楽しんでいきましょう!

(株の学校ドットコム講師・窪田 剛